コロナウイルス感染症はイヌとネコでは以前から知られており、今回の人のタイプとは性格を異にする胃腸炎型である。症状としては主として軟便・下痢、時に嘔吐であるが、単独感染では比較的軽症である。
たまたま他の病原菌と重複(混合)感染すれば重症化し、時に命にかかわることもありえる。
ただし、ネコのコロナウイルスの亜型で全身感染(腹部内臓やそれを包む腹膜に障害をおよぼす)をして、命を落とす難病がある。
いずれにしてもこれらはヒトに感染するものではない。もし変異してヒトにうつるとしたら、とうの昔に大発生していなければならない。だから、イヌ・ネコのコロナウイルスは疫学的にもヒトにうつるものではないと言える。
逆に、ヒトのコロナが現環境下でイヌ・ネコに感染し、ヒトのように集団感染(クラスター)したという報告は世界中で皆無である。どこかの国のイヌで検査陽性の報道があったようだが、その由来は明らかでなく、飼い主からのウイルスの飛び火の可能性が高い。おまけにそのイヌで症状が発症したと報道されていない。
したがって、コロナウイルスはイヌはイヌ、ネコはネコ、ヒトはヒトの間で伝播するもので、ペットの飼い主さんはそういう意味で神経質にならなくてもよいと考えられる。