こんにちは、風山美久里です。
今回は、イヌの異嗜症の中でも最も飼い主さんが困るものの一つである食糞について考えてみたいと思います。
この食糞という問題行動はイヌが幼犬から成犬への成長過程、具体的には生後4~7か月齢で急発する行動で、ちょうど歯が永久歯に生え変わる時期に相当します。
もともとイヌ属というのは、太古の昔より腐ったものでも口にする習性があります。でも、嗅覚はずば抜けて優れているのに、おかしいですよね。味覚に問題でもあるのかしら。
この食糞の原因は以下のようなことが考えられるとのことです。
1.体内での消化がうまくできておらず、うんちをご飯と思って誤食してしまう。
2.栄養が不足している。
3.食事の量が足りない。
4.飼い主の気を引くために行う。
5.何かしらのストレスを感じ、その発散のために行う。
これらのうち、1番のうんちをご飯と思って誤食するというのはほぼ間違いないでしょう。そして2番の栄養不足も成長期のビタミン、ミネラル不足がこの時期に往々にして発生しやすいため、原因のひとつになっている可能性はあります。しかし、食事の量に関しては、仮に食事が足りていてもうんちを食べるときは食べるし、飼い主の気を引くためといっても、飼い主がいてもいなくても勝手に食べて舌なめずりをしているのだから、少し違うのかなあという気がします。歯の生え変わるストレスはあるにはあるでしょうが、では生え変わった後はやむかというとそうではありません。結局、うんちが食べるものではないとイヌ自身がわかるように持っていくことしか解決できない行為なんだろうと思います。
では、その解決方法はどのように考えればいいでしょうか。
私は次の二本立てで考えていく必要があると思っています。
① 排尿、排便は外に出てするリズムをつける。
② うんちは食べ物でないことを認識させる。
まず①ですが、幼少期のワクチン接種が終わった後、散歩に出られるようになれば、定期的な散歩による排便のしつけで食事のリズムをつけることが非常に重要です。通常室内飼いの成犬ですと1日3回の散歩が必要だと僕は思っていますが、食糞のしつけのためには1日5~6回、すなわち、朝、夕方、夜の散歩に加えて食後の散歩をすることで排便は外でするものだということを教えこんでいくことです。
室内飼いのイヌでも外飼いでも、半室内(家の土間など)飼いでも、排尿・排便はお散歩で~~、です。
次に②ですが、成長期のイヌのドッグフードは往々にしてイヌの好むきつい匂いのフードが散見され、その場合、排便にもその匂いが残るので食糞の原因になることがあるそうです。この場合は、食事を変えるかですが、変えるにしても何に変えたらよいかわかりませんよね。イヌの好む匂いが落ちれば食欲低下につながるかもしれず、また、品質に問題のあるごはんや成長期には不釣り合いのごはんを与えてしまうかもしれず。
そこで一つの方法として、便の味といってはおかしいのですが、あえてイヌの立場に立ってこういう表現を使いますが、その味に苦みを加えるという方法です。具体的には、うま味の成分の一つであるグルタミン酸製剤を食事にふりかけて食べさせるというものです。グルタミン酸は、胃液と混じると便の味に苦みを与えるので、食糞防止につながるというものです。
昔、イヌの食糞防止に『かぼちゃの水炊きに味の素をふりかけて与えなさい』ということを聞いた記憶がありますが、かぼちゃはともかく、味の素がまさしくこのグルタミン酸製剤なんです。味の素はどこのご家庭にもあると思いますので、一度試してみてはいかがでしょうか。
その他に、食糞防止のサプリメントとして以下のようなものが人気があるそうなのでご紹介しておきますね。